裏切り者のお姫様 (更新中)
「あの、手当ありがとうございました。こんな遅くにお邪魔したことも…すみません。私、帰りますね。」
立ち上がって腕時計を見ると、すでに11時半をまわっている。
にも関わらず、自分の家に帰る気配のない5人のことは少し不思議に思うけど、これ以上関わることもないだろうし、深く詮索するのは良くないよね。
私も面倒事に巻き込まれるのはごめんだし。
「僕が送っていくよ。もう遅いし。」
「いえ、1人で大丈夫です。」
「女の子はそこで素直にありがとーって言ったほうがかわいいよ〜?」
「うん、トオルの言う通り。親御さんも心配してるだろうし、送るよ。」
「…ありがとう…ございます。」
トオルって人は置いておいて、チカゲさんは本当にどこぞかの国の王子様とかじゃないんですよね?
ヒサって人が連れてきただけの、名前すらわからない女にここまで優しくしてくれるなんて。
前世は相当徳を積んだに違いない。
玄関まででて、もう一度部屋にいる人たちにお辞儀をする。
「本当にありがとうございました。」
「…西区…にはあんまり行かないほうが…いいよ。」
「あ、はい。」
ヒサと呼ばれていた人がわざわざ私のところまできて、無表情で忠告してくれる。