裏切り者のお姫様 (更新中)
「帰りは…チカゲがいるから…安全だから。」
彼なりに安心させてくれようとしてるんだろうか。
そっと頭に手を乗せられて、ぽんぽんっと優しくタップされる。
彼とは本当にちょっとしか関わっていないけど、喋ることが得意ではないことはわかる。
いや、人と関わるのが苦手なのかな。
だから必死に言葉を紡いでくれて、頭を撫でるまでしてくれてるのはきっと私のためだ。
…自意識過剰かしら。
「本当に、ありがとうございました。あ、そうだ。こんなものしかないんですけど…。では、失礼します。」
スクールバッグの中を漁って、飴玉を5つ、彼に握らせた。
こんなものしかないけど、なにも渡さないよりましよね。
バッグの中に常日ごろから、なにかしらお菓子を入れておいてよかった。
もう一度お辞儀をしてから、私はチカゲさんとその場をあとにした。