裏切り者のお姫様 (更新中)
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あの子とチカゲが出てからふと思う、そういえば名前きかなかったな、って。
結局名前も知らないし、学校もわからないし、なにも彼女のことはわからないけど、もう関わることもないだろうしねぇ。
特に問題はないか。
「なになに、連絡先〜?うらやましー。」
「あの女も地味なくせに、ぬかりねぇな。」
「だって、西区に行かないほうがいいって…西区にいたってことでしょ!?ヒサ!!しょせん“そういう子”なんだよ!なのにわざわざ助けて、わざわざ手当してあげるなんて…。信じられないよ、僕。」
ユウリが言っていることは最もだ。
西区手前のあの繁華街はいわゆる“悪い奴ら”のたまり場。
西高のやつもうろついてるしな。
つまり“そういう子”…男ぐせの悪いような女もわんさかいるってわけだ。
誰それ構わず抱かれて、何が良いのかねぇ。
…って、昨日遊んだ子の名前すら思い出せない俺が言えることじゃないけどね。
「にしても、あの女の服装季節外れすぎるだろ。見ててコッチが暑苦しかったわ。」
「なになに、ナギ。興味ありな感じなの〜?」
「アホか。俺はもっと清楚でおしとやかで、花のように微笑む美人が好きだわ。」
「ハハハ〜。そういう子見つけたら紹介してあげようか〜?」