裏切り者のお姫様 (更新中)
…私に出会わなければよかったって言ったくせに!
友達になろうって、仲間になろうって私に踏み込んできたのはそっちなのに!!
なんで、なんで。
今更そんな目を向けるぐらいなら、初めから私を傷つけないでよ!
私のこと見捨てちゃうなら、初めから踏み込んでこないで!
「離して。」
「…。」
「離して…って言ってるでしょ!!!」
パンっと勢いよく手を振り払う。
こんなに大きな声で涼くんに物を言うのは初めてかもしれない。
「私も…、私も涼くんになんて出会わなければよかったよ!!」
「…っ。」
「さようなら、涼く…、大崎くん。」
我慢できずにこぼれてしまっている涙を無視して教室の荷物を取ると、下駄箱へ向かった。
色んな思いでぐちゃぐちゃだ。
とにかく1人になりたい。
ラッキーなことに、今日はバイトも休みだ。
家に帰って、ゆっくりお風呂にでも入ろう。
サボりになってしまう午後からの授業については明日、先生たちに謝りに行けばいいよね。
そうして、私は帰路についた。
『僕とお友達になろ?あとね、僕の仲間は本当に良いやつばっかりなんだよ。鈴木さんも、きっと好きになるよ。』
初めて涼くんに話しかけられた、とある春の日を思い出しながら。