裏切り者のお姫様 (更新中)
「千代」
「え?」
「また、下、向いてる。」
「…。」
不意に呼ばれた自分の名前の方に顔を向けると、さっきまで寝ていたはずの久登さんがコテンっと首を傾けて私を見ている。
その表情はさっきから全く変わらない無、なんだけど。
「上…向いて。」
「え、っと…。」
「俺達といる時は、うつむかないで…。」
「ぜ、善処します…。」
無意識にうつむく癖がついちゃってるんだ…。
昔からの悪い癖。
直さなきゃとは思うものの…。
…怖いんだ。
周りから“どう見られているのか”、“どう思われているのか”、それが分かってしまう…その視線が。
でも本当に直さなきゃ。
同じ空間にうつむくやつがいたら、せっかくの彼らの空間が暗くなってしまう。
久登さんはそうなるから、指摘してるんだ。