裏切り者のお姫様 (更新中)


「ヒサ、言葉が足りないよ。まだ千代ちゃんは僕らと全然関わってないんだから、それじゃ正しく意味が伝わらない。」




「そう…?ごめん、千代。」




「あ、あの、謝らないでください!私が悪いので!久登さんに指摘されたのは的確ですから!直しますから!」




「ふふっ。千代ちゃんそんなに必死にならなくても大丈夫。ヒサは怒ってもないし、指摘したわけじゃないよ。『うつむかないほうがかわいい、うつむいたらもったいない』って言いたかっただけだから。」



「か、かわっ…!?」




不意に言われた“かわいい”という言葉に、普段そんなことを言われない私は、顔に熱が集まってくるのが自分でわかる。





「おいおい、ヒサ。お前眼科行ってきたほうがいいぞ。その根暗ブスのどこが可愛いんだよ。」




凪くんの発言は非常に腹が立つけど、まったく私も同意見だ。





「…?千代は、かわいい…けど。」



「はい、ヒサ〜。千代ちゃんのお顔が無表情に真っ赤、っていう状態から、無表情に真っ青、に変わりつつあるからそのお口閉じようねぇ?」




無表情でかわいいなんてさらっと言う久登さん、そうやって何人もの女の子を虜にしてきたに違いない…。

まさしく天然たらしってやつじゃないかしら。



どちらにせよ、きっと彼は天然だわ。



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