相合傘
本題…ああ!

緊張しすぎて頭から離れてた。


「そうだったね。
あの、じゃああとで話しましょう」

やっと落ち着きを取り戻してきた頭で、なんとか言葉を組み立てる。


「うん、リビングで待ってるわ!」


「みー、こっち」

おばさんがそう言うや否や、いつのまにかまた繋がれていた手を引っ張られる。


見覚えのある廊下に着いて、春が指をさす。


「ここ。
ちゃんとあるでしょ?」


「…ほんとだ」

少し薄くなった、
それでもしっかりと残っている相合い傘。


よく見るとすこしずれている部分が見えるあたり、
春が何度かなぞってくれたんだと思う。


そう考えると胸の奥が熱くなる。


「春…ありがと」


「…?
わからないけどどういたしまして」



゙変わらぬもの゙
(ぜんぶ、綺麗なまま)

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