天使な悪魔〜二面性を持つ女と闘う男の物語〜
冷房のきいた教室とは違い、
蒸し暑い空気が体にまとわりつく。

セミの鳴き声がピークに達したようで、
頭が割れそうなほどに響いていた。

昼休みにもかかわらず、
廊下にいる人は少ない。
みんな快適な教室で過ごしているようだった。


オレは1人、
誰ともすれ違うことなく屋上へ向かった。




屋上へ行っても誰もいない。

照りつけるような太陽に一番近い場所だからだろう。

辺りを見渡すと給水タンクの影が丁度よく伸びていた。

そこに腰をおろすと、
小さなため息をついた。

「多面性ね…」

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