天使な悪魔〜二面性を持つ女と闘う男の物語〜
「え…?」



「凛とは別れないくせに、
佳奈を傷つけたくないとか思ってんでしょ」




あ…すべてお見通しってわけ…。



「それはね、優しさでもなんでもない。
ただの自己満足だよ」



姉ちゃんの言葉が、
ドサリッとのしかかった。



「二兎追うものは一兎も獲ずって言うだろー?

そうやって佳奈のことばっか考えてっと、
凛に誤解されて結局は二人とも傷つけることんなんぞ。

男なら潔くいきなさいよ!」



ばっしーん!と、
姉ちゃんはオレの背中を叩いた。



これは姉ちゃん流の励まし方。


もうちっと手加減してくれてもいいんだけどな。



「熱、あがってきてんじゃね?
いいこと言い過ぎ。
さっさと寝ろよ」



これはオレ流ありがとう。

ちゃんとわかってくれる姉ちゃんは、
クスッと笑って、

「へいへい」


と部屋に戻っていった。





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