追憶の彼方に
4章 進展
✩✩電話
21時を過ぎた時
勇気を出して、波瑠の携帯番号を押した。
コールが、何度か、続いて
心臓が早鐘のように・・・
やはり、でない‥‥
切ろうとしたとき‥‥‥‥‥
「はい。」と
波瑠の声だ。
「‥‥‥‥‥」
声が、出ない。
「‥‥一華?」
と、波瑠に訊かれて
「‥‥うん。」
「ありがとう、電話くれて。」
「‥‥うん。」
「一華‥‥‥ごめんな。
電話もメールもしなくて、
いい加減な、終わりかたして‥‥‥」
と、言われて
「いいの。私も波瑠から、別れの言葉を
言われたくなくて‥‥さけてたから。
でも、波瑠、良かったね。
結婚して、子供もいるんだね。
おめでとう。私、全く知らなくて
びっくりしたよ。
咲希にも訊ねたけど、
咲希も知らなくて
波瑠、よほど、大事で隠してるの?」
と、私は、ツラツラと明るい声で
言った。
波瑠は、
「誰に聞いた?俺の事。」
と、訊かれて
私は、
「この間、
偶然‥‥波瑠のご両親にあってね
おじ様達から、ご馳走になったの。
そのとき、おば様に。」
そう答えると
「そうか、一華には、会うんだな?」
と、どこか寂しそうな波瑠に
「波瑠。
今、幸せなんだよね?
おじ様も、おば様も、
辛そうにしていたから。」
と、先日のご両親を思い出し
訊ねると····
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
答えない波瑠に私も次の言葉が
出ずに·····いると
「‥‥‥‥一華‥‥‥会いたい‥‥
‥‥会いたいんだ、一華?ダメか」
と、辛そうな波瑠の声に
私は、波瑠にマンションの場所を伝えた。
それから、15分すると、
来客を知らせる、ランプがついた。