追憶の彼方に

✩✩良いわけない


翌朝、波瑠は朝食をとり
「一度帰ってから、出社する」
と、言って。

「今度、着替え持ってくる」
と、付け足したが‥‥

これで、いいわけじゃない。
陽向ちゃんもいるのだから

でも、少しだけ‥‥少しだけ‥‥
波瑠の側にいさせて下さい。

私も用意して出社した。

更衣室で、優里と一緒になり
昨夜の話をした。

優里は、
「好きあってるんだから、
誰にも止められないよ。」
と、言った。

「ごめんね、心配ばかりかけて」
と、言うと

「なんかあったら、言うんだよ。」
と、言ってくれた。

なんとか、一日を乗り切り
退社の時間になり、
優里は、用事があって先に帰った。

そのとき、結城課長がきて、
「大丈夫か?」
と言われたから

私は、先に帰ったことを
お詫びした。

課長とは、それ以上の会話はなく
私は、
「お先に失礼します。」
と、帰社した。



外に出ると
女性から、声をかけられた。
「一華さんですか?」


「はい、そうですが。どちら様ですか?」
と、訊ねると


「ここでは、なんですから
    あそこのカフェにでも。」
と、言われて
その女性について行く。
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