追憶の彼方に
俺は、男に
「名前は?」
「甲野 勝。(こうの まさる)」
「それで、まー君か?」
と、言うと、二人が変な顔をしたから
「陽向が、言ってた。」
と、話すと、紗良は顔色を青くして。
俺は、勝に
「お前、紗良が好きか?」
「あっ、当たり前だ。愛してる。
たとえ、お前の変わりでも
俺は、紗良の側にいたい。」
と、男が言うから、
「わかった。
紗良、俺は、お前が憎くて、憎くて‥‥
俺から大切な物を全て、奪ったお前が。
でも、もう、止めよう。
お前は、甲野さんと一緒になれ。
離婚しよう‥‥嫌、離婚したい。
これに、印鑑を押してくれ。」
と、離婚届けを出した。
俺の方は、全て埋めていた。
後は、紗良が書くだけだ。
紗良は、この期に及んでも
「嫌よ、絶対に嫌。
この人とは、今日騙されただけよ。
私が、愛してるのは波瑠だけ。
離婚はしない!」
と、叫ぶ。
「大きい声を出すな。
陽向が起きるだろ。
紗良、俺が何も知らないと思っているのか?
お前が、甲野さんと、
もう長く体の関係があるのも知っている。
陽向も入れて、
三人でお風呂に入ったり、
ベッドで三人で寝たりしている事も
陽向は、まー君の事を優しくて好きだ
と、言っていた。
このまま、ごねて裁判になっても
お前の方が分が悪い、解るだろ。
このまま、離婚届けにサインすれば
慰謝料も取らない、全てをお前にやる。
俺は、身一つで出ていく。
どうする?」
と、言うと
「波瑠が、私を大事にしないからじゃん。
私が、裁判でそういえば私が有利よ。」
と、きかない紗良に
「なら、過去にさかのぼって、
お前が、俺を嵌めたことを
証言してもらう。
何人も、証人は要るからな。」
と、伝えると。
勝が
「紗良、どんな理由があっても
不貞をしているお前が勝てるわけない。
陽向のことも考えてやれ。
俺じゃなくても、いいから。
紗良も、旦那から解放されて
違う人生あるけよ。」
と、言った。