追憶の彼方に
紗良は、
「何よ!!
勝は、何も知らないくせに!」
と、叫ぶ紗良に
勝は、
「知ってるよ。
お前が、旦那を好きで、
好きで、たまらないのに
旦那から、振り向いて貰えずに
気持ちの行き場がなくて
のたうち回ってるのも‥‥‥
食べてもらえないのに、
毎日料理を作って待っているのも‥‥
知ってる。
どれだけ、俺がお前を見てきたと
思っているんだ。
でも、もう、いいんじゃねえか
お前も、お前だけを愛してくれる人と
幸せになっても。
そして、こいつも。」
と、言うと紗良は泣き出した。
「もっと、早く解放してあげれば、
良かったな‥‥済まなかった。
紗良、幸せになって欲しい。」
と、俺は言った。
紗良は、泣き続けていたが
勝の説得で、
離婚届けにサインをしてくれた。
俺は、
さっきも言ったように
このマンションも要らない。
慰謝料も請求しない。
陽向の養育費は、
紗良が再婚するまで支払う。
陽向の籍は、
俺から抜いて紗良に入れる。
俺の後の荷物は、処分して欲しい。
事を伝えて
俺は、陽向の寝顔を見てから
家をでた。
今日から、しばらくの間、
会社の近くのビジネスホテルに
宿泊をお願いした。
明日の朝いちで、
市役所へ行き
離婚届けを提出する。
その後、一華に連絡をしようと
ベッドに入り眠りについた。