柴犬主任の可愛い人
 
 
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いざ、カレーとバーベキューパーティーへ!!


八月十四日。お盆真っ只な午前中に伊呂波の前で待ち合わせをし、亮さん所有のワゴンに乗り込んだ。前日仕事だった亮さんに代わり、行きの運転は柴主任。


裏道とナビをポイントで使い分け、少しの渋滞に巻き込まれはしたけどお昼過ぎには到着する。車を駐車場に停めて案内看板に従うと、そこは澄んだ水の流れる川の側な綺麗なキャンプ場だった。キャンプ場って泊まらなくてもバーベキューだけでもいいのね、と感心した。もっと奥にはコテージもあるらしい。


川から一段上がったバーベキュー専用のスペースには他にもお客さんもいて、予約制らしくグループごとに区分がされてた。


テンション上がり騒ぐのは私だけ。斜め後ろにて、華さんの足にぶら下がっている美幼女の真綾ちゃんは、実は初対面の朝から一言も喋ってくれない。どころかまだ目も合わない。亮さんの子でもあるからという華さんの言葉に大いに頷いた。真綾ちゃんは、絹のような黒髪をサイド編み込みのポニーテールにしてもらっていて、デイジー柄の半袖チュニックに怪我防止の為にとジーンズ、水陸両用のスニーカーで快活可愛い。用意してきたアレルギー対応のクッキー、今日中に渡せるだろうか。


亮さんがテントを張る。亮さんがバーベキュー用具をセットする。亮さんが種火を点け炭を赤く熱する。亮さんが下拵えしてきた野菜たちをクーラーボックスから取り出す。お肉は……と迷う素振りをしたから私は駆けつけた。律儀なお方だ。カートを勝手に触っていいか考えてくれたんだろう。お肉の入った発泡スチロールの上には、私のバッグが乗せてあったから。


じゃじゃんとお肉を披露すると、亮さんは一重の目を見張った。


「うわ……すごいな。いい肉。青葉ちゃん、後で必ず精算な」


「ええ~。家族割りだからお安いんですよ」


お肉代は私がもつと言ってたのだ。ここまでのガソリン代出してないしと主張をすると、亮さんは真綾ちゃんと戯れる柴主任に特に多く請求すればいいと言い放った。


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