彼女にもう一度
上に被せた葉っぱはさすがにもうないが、代わりに蔓が木の枝に巻き付いていて中は見えない。
2人は優に入れる広さだったはずだ。

高さは子どもの背丈くらいだが、充分立派な秘密基地だ。


この場所で僕は、ココという名前を彼女につけた。
僕たちの歴史はそこから始まったのだ。



「ココ……」



蔓に指を巻き付けながら彼女の名を呼ぶ。
いつしか遠くなっていたココが、今目の前にいる気がしてくる。


「何で僕をここに呼んだの」


僕は、幻のココに向かって話しかけた。


なんだか秘密基地の中に、あの日のようにココが1人座っているような感覚だ。
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