彼女にもう一度

*どこへいく

「ようこ!ようこ!」


僕が呆然と立ちつくしていると、突然ココを呼ぶ声が聞こえた。


「ようこ、探したのよ。1人で何やってるの……」


そう言って駆け寄ってきたのが誰か、僕は一瞬で分かった。


ココのお母さん……。

高校時代のココに瓜二つで、僕は思わず息を呑む。

嗚呼、ココが大人になることができたら、こんな綺麗な女性になっていたのだろう。


「あんな、未来のおじさんとお話しててん」


ココはそう言って僕を指さしたが、母親にはやはり見えていないのだろう、


「また変なこと言って……」


とため息をついてココの手を引っ張った。



「おじさん、1つだけ聞かせて!」


そんな母親の手を振りほどき、ココは僕の顔を真っ直ぐ見つめて言った。


「ココがどんな大人になっとるか知ってる?」
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