本当
私が必死に訴えても聞かずに歩き続ける。

「だからっ」

私は急に足を止めた正の肩に頭をぶつけた。


「ここ」

小さく呟くとホテルに向かって歩き始める。
もう完全に油断していた。
目をつむりながらついていく。

「何しているの?」

少しして声をかけられた。

「何も怖くない」

開けた目に映ったのは明るく綺麗なネオンに包まれた商店街。

「あれ?ここ」

「ホテル連れていかれるとでも思った?」

ニヤッと笑みを浮かべながらそう言われる。

「考えていません!」

だって相手はあの正。
勘違いしても仕方がない。
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