特ダネには真実を
「デスク、そんなに怒ったらお肌に悪いですよ。ほら、スマイルスマイルっ!」



「幄倍さん、それスマイルじゃなくて、変顔~」


「えぇ~、完璧な笑顔なんだけどなぁ。」



スマイル…もとい、変顔で仲裁にならない仲裁をするのは、囃噺の部下で38歳記者歴1年の幄倍(トバリベ)。



そんな幄倍に、南能潮(ミナミノウ シホ)は的確な突っ込みを入れる。


潮は幄倍の半年後の入社であるが、25歳という年齢にも関わらず記者歴は7年になる。


それもそのはず。
痲蛭(マヒル)というオカルト雑誌社で、記者をしていたからだ。


経営方針が変わって記者が大量に辞めてしまい、滅多に出さない募集を出す羽目になった陽明日新聞社。

しかし、経営難で雑誌社が倒産して職を失った潮にとっては願ったり叶ったりである。



2人でケラケラと笑っていると、後ろから黒い影。



「下らないことやってないで、仕事しなさーいっ!!」



「げ、原稿纏めるわよ。」


「り、了解です。」



「取材、行ってきまーす。」



再び響いた啄梔の怒号に、蜘蛛の子を散らしたように3人は仕事に取りかかるのだった。
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