特ダネには真実を
「南能、昨日のあれはなんだ?」


「何って、特ダネじゃないですか。先輩に譲ってあげたんですよー。」



警察担当である秀滝(ヒデタキ)は、潮に詰め寄っていた。


夜も明けきらぬ昨日午前3時、『殺人事件です。すぐ来て下さい。』場所だけ告げられ切れた潮からの電話。



仕方なく言われた場所へ行くと、男性が血まみれで倒れていたのだ。



潮の言う通り、現場に一番のりで特ダネにはなったのだが、何故潮から連絡が来たのか秀滝は納得がいかなかった。



「タッキーさんどうしたんですか?朝からそんな顔で。」


「俺はそんな名前じゃないし、この顔は元からだ。」



秀滝は、どこぞのアイドルに似た苗字が嫌いだった。


潮も散々からかい、結局部署が違うのにも関わらず、先輩に落ち着いた。



「幄倍さん!聞いてくださいよー先輩ったら特ダネ提供したのに、褒めてくれないんですー」

「それは酷いねー。」


「お前は口を挟むな。」



会話を聞いていたのか参加してきた囃噺を、秀滝は嫌そうに見た。


8歳も年が上なのに、同期というだけで軽口をたたいてくる囃噺を、秀滝はどうも好きになれない。
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