特ダネには真実を
「なんであんな時間に南能がいたんだ?しかも、行ったら現場にいないし。それに」



「それに、現場から立ち去った人物の目撃証言が、南能に酷似している。」


「薇晋さん。」



秀滝の言葉を遮ったのは、千葉県警捜査一課、薇晋(ビクニ)警部だった。


その後ろには、崇厩(タガウマヤ)巡査部長もいる。



「ちょっとそれ、どういうことよ。南能が犯人とでも言いたいわけ?」


「そういうわけではありませんが、重要参考人として話を…」



啄梔の憤りに圧倒されながらも、崇厩は警察官としての職務を果たそうとする。



「通報を受けて駆け付けた所轄より、秀滝の方が現場に先にいたのは南能から電話があったかららしいな。目撃証言からいっても、事情を聞くのは問題ないはずだが?」



「それはそうだけど…って、他じゃ現場から逃走した人間が犯人みたいな書き方だったわよ。秀滝がにおわせるに止めたのは、正しい判断だけど。あれじゃいつか辿り着くわ。」


「一応容姿は伏せてもらってるがな。報道協定じゃないからな、いつ洩れるかは分からん。だからわざわざ、話を聞きに来たんだ。」



報道される前に、事実確認をしたかった。
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