特ダネには真実を
「似た人なんじゃないですか?よくあるでしょ、他人の空似。」


「他人の空似が、秀滝の電話番号知ってるわけないでしょ…」



思い付きが的外れ過ぎる幄倍に、囃噺は呆れるしかない。



「南能、被害者とも面識があるよな?何てったって、前の職場の先輩だもんな。」


「被害者が?フリーライターって書いてたわよね?」



「現在はそうですが、半年前まで南能さんと同じ痲蛭というオカルト雑誌社で編集長をしていました。まぁ、10人にも満たない雑誌社でしたから、編集長といっても色々雑務もしていたようですが。」



啄梔は秀滝に話し掛けたつもりが、崇厩がフライングする。




被害者は、国北照(クニキタ アキラ)41歳。

死因は、頭と体を鈍器のようなもので殴られたことによる、外傷性ショック。


犯人に繋がるような凶器・指紋等の証拠は、今のところ発見されていない。


職業はフリーライター、独身。

そして、潮の元先輩。



「しかも、よく会っていたみたいだな。雑誌社を離れてからも度々。」



オカルト好きで息投合していた潮と国北が、先輩後輩の仲だけではないと疑っている社員も痲蛭にはいたようだ。
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