曇り
「りーつーくんっ」
蝉がやってきた
シカトを続けると、蝉は俺を木とでも勘違いしたのか抱きついてきた
男に抱きつかれる趣味はない
仕方なく振り払ってから、相手にしてやった
「用があるならさっさと済ませろ」
「わかってるよー」
「…」
「渡みわ。新人さん。中学三年生。童顔で、あの男への免疫のなさ!どーよー」
わかってはいたものの、蝉に言われると耳障りでならない
「なあ、律好みだろ?俺はわかるんだぞー」
怪しげな瞳
「中学生なんて許容範囲外、だ」
…俺にここまで話しかけてくる奴は…ここではこいつ以外いない