終われないから始められない
社会人。大人。
今日は卒業式。
あっという間の高校生活、三年間だったな…。
特に三年の後半は早かった気がする。
明日から研修センターで三日間の集合研修が始まる。
知らない人と、いきなり寝食を伴にしながらなんて…、ストレスハンパなく溜まりそう…。
大会議室で開会宣言のあとグループに分かれて研修が始まる。
短大卒、大卒のエリア。
高卒のエリア。
7〜8人のグループに分かれる。
電話応対。
決められた文句のやり取りを実際に受話器を取って話す。
隣の人と繰り返し練習する。
「慣れたら代表で、そうね、貴女と貴方で、二組ずつ。最後に前でやってもらいます」
ひょえー、私、選ばれてしまった。まあやるしかないよね。
白い紙に印刷されたお札に見立てた100万円の束。
これで札勘の練習をする。
実際のモノと材質が違うが、横読みは扇状に広げて決めた枚数ずつ挟んで数えていく。
パタパタパタと縦読みして、最後にパチンと弾いて終わると、何とも銀行員って感じがした。
他に窓口業務、預金、貸付等、日程に添ってすすめられていく。
二日、三日目と過ぎる頃には自然と仲良く成っていくものだ。
苦楽を伴にする同士?みたいな。
夕食を食べていると、あたし、これ嫌いだからあげる、とか、入浴後はドライヤーの貸し借りで騒いだり。
布団に入って眠る頃は、自然と彼氏いる、いないの話になったり。
まるで修学旅行みたいだ。
お姉様達の部屋はさすがに良い香りがした。
お化粧したり、軽めの香水をつけたりと、私達とはやっぱり違ってた。
同じグループの中に、ショートヘアで目がクリクリした、漫画を実写化したような子が居て、研修が終わる頃には凄く仲良くなり、連絡先を交換して別れた。