終われないから始められない


俺まだまだ半人前だけど、一緒に居たいヤツがいるんです。

たまに仕事以外で会うようになったある時、内田君は俺にこう言ったんだ。


中学の頃からの付き合いで、なんだか妙な感じなんですよね。
世の中、沢山女の人が居るっていうのに。
アイツしか目に入らないんですよ。
ベタ惚れですね。俺の負けかも。
元々可愛い顔してるんですけどねアイツ。高校生になったら、なんだか急に綺麗になって。
学校の奴らは騒ぐし。
俺焦ってたのかも知れない。子供ですよね。
誰にも取られたく無かったんだと思うんですけど。
なんだか、わざと冷たくした気がします。
結果、祐希を随分、悩ませてしまったみたいで。
あ、祐希って言います。

(ユウキ?まさかな)

俺達、誕生日が近いんですよ。
アイツが19日で俺が21日。
お互いが二十歳の20日に結婚しようって。

まだ二人共、子供です。可笑しいでしょ?
考えてる事が幼くて。
でも強がりたくて。

アイツ、親との関係、ちょっと辛いことがあって。
そんな訳で、独身の橘さんには悪いっすけど、俺はもう少ししたら妻帯者ってことです。
指輪も今作って貰ってて、あー内緒ですよ?
て言っても知らないですもんね、アイツのこと。

そうだね…何だか妬けちゃうな。
そんな綺麗な子なら会ってみたいな。

駄目ですよ、橘さんは。
大人で、タッパもあるし、イケメンだから、絶対!会わせないです。
あ、アイツは性格もめちゃくちゃいいですから、料理だって美味いですよ。

…そうなんだ。何だか余計残念だな」

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