終われないから始められない
弘人が中学を卒業する。
これから学校で逢えなくなるなんて…。
…考えたくない。
元々、学年が違うから、いつも逢えてる訳じゃないけど、…でも、廊下や階段で、偶然見掛ける事も無くなっちゃうんだ。
学校に来てももう居ないんだと思ったら、どうしようもなく切なくなるよ。
高校生になった弘人は、なんだか急に大人な気がした。
ヘアスタイルだって変わった。
中学生と高校生じゃ、なんだか私、…子供みたい。
通学途中で弘人を見掛けた。
一緒に居た女子は同じ組の人なのかな。
当たり前だけど私は知らない。
ちっとも解んない。
フワフワした濃いブラウンの髪。
随分大人っぽく見えて…。
誰?知らない。…綺麗。何だか嫌。
はぁ…私、やきもち妬いてる。
弘人が私に気付いて、視線を向けて来たけど…
フンっだ。…無視した。
ますます子供っぽい。
こんなの、妬いてますよーって、自分から墓穴掘ってるみたいじゃん。
微かに聞こえて来た。
「ねえ弘人、彼女?
ご機嫌斜めみたいよ?いいの?
可愛いね」
弘人のこと、弘人って呼ぶな!
弘人って呼ぶのは…私だけなんだから。
…もう、やだ、私…。
…そんな私もやっと高校生になった。
弘人とは学校が違う。
今までより遠くなったし、余計逢えなくなった。
元々、ベタベタ、イチャつくような感じじゃ無かったけど。
つき合ってるのかどうかも、よく解んなくなってきたような気がしていた…。
何だか、このまま自然消滅しちゃうのかな。
弘人って、思うように逢えない時、淋しいとか、思ってくれてるのかな?なんだか私ばっかりなのかな…。
部活、忙しいし、電話だって何だか素っ気ないし。
同じ学校じゃないと、みんなこんなになっちゃうのかな…。
もっと逢いたいのに…。
もう、嫌われたのかなー…。
あー、もう。頭おかしくなりそう。