降車駅
問われた少年は一瞬ビクっと肩を震わせ、しばらくの沈黙の末に、「サボり」と、ぼそっと言った。
「おや。駄目だよー。学校はまじめに行かないと」
「そう言うあんたはどうなんだよ」
「ん、お察しの通りサボりでござる」
あっさり白状すると、少年は吹き出した。
まだ幼さの残る顔立ちは、笑うと途端に子どもっぽくなる。
「人のこと言えねぇじゃん」
「うるさいなあ。あたしはいいんだよ、優等生だからね」
「へえ。サボりのくせに勉強できんの?」
「実を言うと、かなりね」
「自分で言うか」
「君に余計な謙遜をしてみせたところで得はないだろうからねぇ」
あっそ、と、少年はたいした感慨もない目であたしを見た。
その、無表情に近いようでそうじゃないような、微妙な表情が意味するところをあたしは知らない。