降車駅



「君のさっきの質問だけどね、」


 ようやく笑いが治まってきた頃に、あたしは言った。



「それは誰もが思うことだと思うし、そのことについて考えるのはべつにいいと思うけど、ある程度の実力を持ってから口にしないと駄目だよ。

ただのものぐさ坊主の言い訳、負け犬の遠吠え、に、なるから」



 あたしの言葉を、少年は黙って聞いていた。


真面目に耳を傾けているのか、聞き流しているのか、わからないけれど。



「それに、勉強ができるといろいろお得だよ。たとえば学校をさぼりたいときとかね。

普通は親からの連絡が必要だけど、普段から品行方正な優等生だと、生徒自身の連絡でも正当な言い訳を用意していれば、年に二回くらいは多めに見てくれる」



「なるほど、そうやってサボったわけか」


「ん、便利でしょ」



 大真面目な顔で言うと、少年はあろうことか鼻で笑いやがった。


ムカついたから脇腹にチョップをお見舞いした。



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