降車駅
いいなぁ。こういうの、いいなぁ。
空の青を遮る高層ビルも、一フロアに一人は常識や品位に欠けた若者がいるショッピングモールもない。
静かで、穏やかで、爽やかな空気。
次の十字路も左に曲がってずっと歩くと、線路に戻ってきてしまった。
まあ、当然の結果だ。
よし、線路の向こう側に行ってみよう。
そう決めて、あたしは線路をそのまま横断した。
踏切のあったところまで戻るのは面倒だからね。
線路の向こう側はやっぱり田んぼだったけれど、少し行ったところからは民家の群れだった。
古い日本家屋みたいな家もあるし、今風の洋風建築の家もある。
プレハブ小屋みたいな建物もあって、建築物の群れの中に唐突に畑が現れたりする。
お店なんかもたまに見かける。
酒屋、八百屋、
青地に赤で「かき氷」と書いたのぼり旗を軒先にひらひらさせている駄菓子屋、
地域感のすさまじいスーパー、
今や八百万の神並みに偏在するコンビニエンスなファ◯マ。