降車駅



 それはもう、潔いほどの綺麗な坊主頭。

独断と偏見だけで判断すれば、十人中十人が絶対に野球部だと推測すると思われる。



 和菓子屋に入るでもなく、それなのに店の方を向いて、玄関の前でじっと立っている、推定野球少年。



 異様だ。

観光地でもない田舎町をカバンも持たずに、デジタル一眼ひとつぶら下げてうろついているあたしと同じくらい異様だ。



 あたしはしばらく動かない背中を見つめていたが、あまりにも動かないので本物かどうか心配になって、

「おーい」

 と、呼びかけた。



 反応はない。


けれど、張り紙を見つめていた少年がほんのすこしだけうつむいたから、とりあえず生身の人間であることはわかった。



 もしかして、甘いものが食べたいのだろうか。


けれどお小遣いが少なくて迷っている、とか。



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