降車駅
「は? なに、なんで」
「ん、なんか冷たいもの食べたくなったし、さっき駄菓子屋でかき氷売ってるの見たし、
あんたに興味湧いたし、あと、あんたお腹空いてそうだったから」
あたしが言うと、野球少年は訝しげに眉をひそめて、その口を開け、また閉じる。
迷うように視線が揺れて、やがて、こんな小娘を警戒してもしようがないと判断したようだ。
「じゃあ、メロンで」と、ぼそぼそ言った。
「あんた、どこから来たの」
あたしと並んで歩きながら、野球少年は言った。
「君も名前くらいは知ってるところからだよ」
「なんだよ、それ」
「当たったらかき氷二つにしてあげるよ」
「二つもいらねぇよ」
ん、たしかに。
二つも食べたら、頭キーンってなるよな。