ふちどられたミライの中で【ケータイ小説向上の会企画作品】
俺は足早に動き始めた。


暗い道を目指す。



そして、あと一歩で俺の姿が隠れようとした時だった。



「あっ!ちょ、ちょっと待ってください!」


彼女は大声をあげた。たいした距離じゃないんだから聞こえるんだけどな。



俺は彼女の方へ振り返った。



「言い忘れてました。でも、今日じゃなくちゃいけないんです!」



「何だ?」



彼女はピンと背筋を伸ばして、両腕をピシッと伸ばして体につけた。

気をつけの姿勢。



ちょっと可笑しい。



「はじめして!」



『はじめまして。』


!!!


ああ・・・・そうか。はじめて会った人には言わなくちゃな。



「はじめまして。」


俺は顔だけを彼女だけに向けた状態で言った。


そしてそのまま、路地へと入っていた――――。



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