ふちどられたミライの中で【ケータイ小説向上の会企画作品】
黒の映像がブワリと目の中に流れ込む。目まぐるしく世界が動く。


だが、確かに俺は飲み込まれた・・・・



そして。


白と黒が俺の中で反転。コントラストの調節がなかなか効かない。


一度目を閉じる。再び、目を開けたそこに広がっていたのは黒と赤の世界。




赤で覆われた空間に、床に黒いドロドロとしたものが流れている。深くは無い。その中を俺は歩いている。


歩くたび、グチャグチャと気持ちの悪い音がする。ん?


何だかこれどっかで・・・。



そう思ったのも束の間。今、自分が歩いている道を注意深く見つめていると、黒いドロドロしたものの正体を掴んだ。



粘液をも発しているこれは全て、雑踏の一部と化していた人々だ。顔が浮かび上がっては形を無くしてゆく。


俺はただただ、冷酷に見つめる。気にもせず、上を歩く。



だが、俺は途中で立ち止まった。



見覚えのある顔・・・・瀬羅・・・?



間違いない、


「瀬羅!!」


俺は叫んでいた。



形を失い始める彼女を必死に腕で掴んだ。しかし、止まることなく彼女は崩れ、流れにのって向こうに行ってしまう。


俺は追いかけた。


だがもう何が何だか検討もつかない。



いつしか、俺も足から形を無くしていった。


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