ふちどられたミライの中で【ケータイ小説向上の会企画作品】
塀の上ではにゃあにゃあと猫が鳴いている。


けれど、うるさいとか気ままだとか思えないのは、


ここに集ってるモノ全てが自分の理解者だとでも思っているから。




「結局、自分を壊すのは自分なんですよね。」


ふぅ、と小さく溜息をついて瀬羅は言った。疲れた、というよりは溜まった不要物を吐き出すかのようなさっぱりとした溜息。



「自分?」



言葉の意味はよく分からない。けれど、彼女の言う言葉は正しいような気がする。



「他人からどんなに酷いことをされても・・強さがあるなら立ち直れる。でも大抵はそんな強さ持ってません。持っていたらそれはある種の才能なんじゃないかな、って。」



じっと瀬羅を見つめ、瀬羅はただ真っ直ぐに何かを見る。



「だから。」



瀬羅の瞳がこちらを向いた。



「だから私は思うんです。強さを持たないから他人から必要とされてないって感じると、自分もまた自分の存在を否定しようとするんだって。


自分を壊すのは・・・壊しているのは自分だって。」



他人の意見なんてクズ。


我が道を突き進めばいい。けど人は弱いから。


心の何処かで左右されてしまう。



いつか、自分を否定してしまう。

そうして自らを消そうとする。


「ああ・・・本当だ。」



ははは、とまた呆れて笑いが出る。

同時に何か温い液体が


目に溜まる。
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