ふちどられたミライの中で【ケータイ小説向上の会企画作品】
多少・・・(とはいっても足元をやっと確認できる程度)の明かりはある。真っ暗・・という訳では無さそうだ。


けれど、はたして都会で真昼間からこんなにも暗い空間が他にもあるだろうか?探すのは相当、困難な筈。


よく見つけられたな、と自分に思わず誉めたくなる。



地面には泥があるのか、水分を大量に吸っていて歩くたびぐちゃぐちゃと音を立てる。今更クツが汚くなったってどうって事無いがやはり気になってしまう。


こんな所じゃ雨が蒸発・・・なんて事は有り得ないのかもしれないな。



しかしどうしても流せないのは臭い、だ。


入る直前から耐えてきたものの流石に吐いてしまいたい。腐った果物とか野菜とかそれがちょっと生易しい気がする。


例えるなら焦げた食べ物かなんかに、タイヤのようなゴムと下水道の臭いを混ぜたような・・・・・とにかく酷い臭い。鼻をつまんでも口から吸った空気の中に臭いが感じられるからたまったもんじゃない。



傍らにはぽつぽつと小さな明かり。不気味にならぶ二つずつの明かりはネコの目である意外に考えられない。歩くたび自分たちの領域を侵されてると思い込んでいるのか唸り声を出すばかり。



自然と足は早くなった。



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