横顔だけじゃ、足りなくて
次の日、真彩は熱で学校を休み、俺はただずっとアイツを探していた。
見つけたのはお昼休みだった。
『おい』
教室に戻ろうとしていたアイツの後ろ姿を見て、肩を掴んだ。
振り返った柊良は驚いた様子を見せたが、すぐに何かを察して俯いた。
『昨日、真彩と会う約束してたんだろ?』
『うん』
『なんで行かなかった?
あいつ、雨の中4時間もお前を待ってたんだぞ!』
声を上げてしまったため、廊下にいる生徒たちが俺を見た。
黙ってねぇでなんか言えよ!
黙ってちゃわかんねーよ…
真彩の気持ちを踏みにじったくせに!
『ごめん…』
『真彩をこれ以上泣かせたら許さねーからな!』
野次馬が集まってきたので、適当に話を切り上げるが、満足いかなかった。
理由ぐらいあるんじゃないのか?
アイツの事は大嫌いだけど、何も無いなら約束を破る必要がない!
真彩はアイツを信じてずっと待ってたんだ…
中途半端な気持ちなら近づくなよ…
なんで俺じゃなくアイツなんだよ!
こんなに近くにいるのに…
-那雲 side end-