横顔だけじゃ、足りなくて
-逹奇 side-
俺はずっと好きな先輩がいる…
明音先輩とは中学からの仲
先輩は野球部のマネージャーで、話せるようになったのは、野球部のダチのおかげだった。
髪はショートで、くせっ毛のせいかいつも毛先がはねていてまたそこが可愛い…
背は160以上はあるかな?
一目惚れから始まり、話していくうちにどんどん好きになり度々先輩にちょっかいを出す。
この高校に入ったのも、言ってしまえば先輩を追って。
そして今、明音先輩をお祭りデートへと誘うため電話をかけている。
《もしもーし!》
明るい先輩の声に、胸が高鳴る…
『明音先輩!お祭り行きませんか!?』
《えっ?祭り?逹奇と二人で?》
『俺じゃぁダメ…っすか?』
俺が一目惚れした時、先輩には付き合っている彼氏がいた。
その人はもちろん野球部の先輩で、明音先輩の一つ上だった。
毎日笑顔の明音先輩が好きでたまらず、それでもいいと想い続けた。
しかし、明音先輩は最近になってその人と別れてしまった…
《ううん、行くか!二人で》
『マジっすか!?
デートって事でいいっすか!?』
祭りで先輩をもっと笑わせたい。
あの人を忘れて、吹っ切れるぐらい…
今の俺にできるのは少ないかもしれない。
でも、やっぱり先輩を好きな気持ちには嘘をつけない。
《デート…か。
うん!それでいいや!》
『あざす!』
《ちゃんと引っ張ってよね?》
『当たり前っす!』
電話越しの先輩の声は、いつもみたいに明るくて…
でもどこか作ってるみたいな。
それも終わらせてあげますよ。
一歩も引く気はありませんから。
明音先輩を絶対振り向かせるから。
-逹奇 side end-