横顔だけじゃ、足りなくて
-那雲 side-
この場に俺は必要か?
そう思って祭りには来たけど、予想以上に浴衣が似合っている真彩を見て正直来てよかった。
何よりもアイツがいない。
まぁ、真彩は一度肩を落として…
それから俺が話しかけて、今ではまぁまぁ気持ちが上がってきたかな?
「次、アレ食べたい!」
『真彩…太るぞ?』
すると頬を膨らまして怒る真彩。
それが見たくてついつい、怒らせてしまう。
そして出た、真彩のツンッとソッポを向く仕草。
『わ、悪かったって!』
「ほんとにー?」
『…1mmだけ』
「もう!」
俺だけにその表情を見せろよ。
笑った顔とか怒った顔…
全部独り占めしたい。
アイツに全部見せんなよ…
片想いは辛い。
グイッと、人混みに流されそうになる真彩の腕を引く。
今日は祭りで人が多いから一段と密着する…
このまま花火が打ち上がるまで、真彩の隣にいたい。
でも、神様は意地悪する。