横顔だけじゃ、足りなくて
はしゃぐ真彩を追いかけながら、行き交う人々を見る。
もちろんそれは恋人同士や友達同士、部活仲間の連中ばっかりなわけで…
だから、一人でいる奴なんてすぐにわかってしまう。
真彩を探して走っているアイツの姿が…
花火が始まるまで後少ししかない。
真彩が隣で花火を見たいのはきっと俺じゃない。
『真彩、ここなら花火綺麗に見えるかもよ?』
きっとここなら、花火が一面綺麗に見えるだろう。
まだ人が寄ってきていないけど、たぶん人がよく集まってくるだろう。
「そうだね!」
『じゃぁ、俺何か飲み物買ってくるわ』
「私も一緒に行くよ?」
『ダメ、花火始まったらダメだし』
すると真彩は困った顔をしながら、小さく頷いた。
「早く、帰ってきてね」
『あぁ…』
ごめんな。
もう、戻らない。
小さくなる真彩の後ろ姿を見て、悲しくなる感情を抑えながら走ってアイツを探した。
真彩を心から笑顔にしてくれよ…
なぁ…
-那雲 side end-