横顔だけじゃ、足りなくて
一気にたくさんの花火が打ち上がり、花火はクライマックスに差し掛かった。
カラフルに夜空を彩る満開の花火を目に焼き付ける…
私の大好きな打ち上げ花火…
久しぶりに誰かと一緒に見た花火。
毎年、一人で遠くから花火を見上げていた。
いつか、好きな人と花火がみたい…
そうずっと思ってきた。
それが今日、叶ったんだ。
長年の願いが今日…
最後と思われる花火が打ち上げられ、花火終了のアナウンスが響いた。
その声を聞いて、みんな一斉にこの場から離れていった。
残ったのは、私たち二人だけ…
『花火、綺麗だったね』
「うん」
向かい合う私に、彗くんは涙の理由を聞かなかった。
優しいね、彗くん。
会うたび、胸が高鳴って
会えない日は、決まって悲しくなる。
毎日、“好き”が高まっていくんです。
私、
私…
「彗くんが好き!」
…
目をぎゅっと閉じて返事を待つ。