横顔だけじゃ、足りなくて



ローファーに履き替えて、門を出てすぐ…


もう後ろ姿は終わり。


勇気を出して彗くんの隣に行ってみると、にっこり笑って手を握ってくれた。




『真彩ちゃんの手小さいね』


「もう!」


『しっかり繋いでなきゃね』




さっきよりぎゅっと握ってくれた手…


この手を離したくない。


ずっとずっと傍にいたい。


隣で笑い合っていたい。


この気持ちが“好き”っていう感情なんだ。


彗くんの横顔をちらりと見て、ドキッとしてすぐ下を向く。


これだけは一ヶ月経った今も変わらない。




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