横顔だけじゃ、足りなくて
和奏の啜り泣きが耳元で…
どうしようも出来ない自分が憎い。
真彩ちゃんがいるのに、和奏を抱き締めてしまった…
「私、学校辞めようと思ってる」
『えっ…?』
「いても迷惑かけて、居場所もないし、学校に行く意味もないから」
和奏を苦しめたのは、俺かもしれない。
俺がずっと側にいれば、和奏は一人にならなかった。
「私は大丈夫だよ。
彗は真彩ちゃんって子がもういるでしょ」
『和奏…』
「好きな人の幸せを私は願う。
私は学校辞めて、もう少し頑張ってみるから」
腰から手を離した和奏は、笑ってこう言った。
「今までありがとう。
さよなら」
と。
そう言い残して保健室を飛び出した和奏…。
さよなら…
この言葉が深く胸に突き刺さった。
-彗 side end-