横顔だけじゃ、足りなくて



和奏の啜り泣きが耳元で…


どうしようも出来ない自分が憎い。


真彩ちゃんがいるのに、和奏を抱き締めてしまった…




「私、学校辞めようと思ってる」


『えっ…?』


「いても迷惑かけて、居場所もないし、学校に行く意味もないから」




和奏を苦しめたのは、俺かもしれない。


俺がずっと側にいれば、和奏は一人にならなかった。




「私は大丈夫だよ。
彗は真彩ちゃんって子がもういるでしょ」


『和奏…』


「好きな人の幸せを私は願う。
私は学校辞めて、もう少し頑張ってみるから」




腰から手を離した和奏は、笑ってこう言った。




「今までありがとう。
さよなら」

と。



そう言い残して保健室を飛び出した和奏…。


さよなら…

この言葉が深く胸に突き刺さった。





-彗 side end-




< 169 / 287 >

この作品をシェア

pagetop