横顔だけじゃ、足りなくて
失恋…か。
俺と一緒だな。
真彩に失恋して…
でも、真彩の幸せを願った。
アイツが真彩を笑顔にしてくれるなら…と。
『俺と一緒っすね。』
「えっ…」
『俺も失恋したばっかなんだ。
一ヶ月経った今でも、やっぱり辛い』
でも、真彩の笑顔を見る度に俺の選択は間違ってなかったんだって思えてる。
だから、もういい加減前見なきゃいけないんだ。
するとぎゅっと、俺の腰に手を回した先輩…
「やっぱり、辛いよね。」
『うん。』
「…良し!
泣くの辞める!」
自分の目をごしごしカッターの裾で擦る先輩…
目を赤くして…
でも、ちゃんと笑ってる。
『先輩…強いね』
「和奏でいいよ」
『…和奏』
「ははっ」
ぎこちない俺の声に笑っている。
弱々しかった和奏は、もうそこにはいなかった。
明るい笑顔を俺に向けている。
『外、行く?』
「うん。うん!
甘いもの食べたい!」
『じゃぁ、行こ』
子供みたいに泣いて、子供みたいに無邪気に笑う。
ほっとけないタイプかもしれない。
これ以上、手首の傷を増やして欲しくない。
だから、俺が側にいたら…ダメかな?
-那雲 side end-