横顔だけじゃ、足りなくて
思えば千加にしっかり話したことがなかった。
彗くんと和奏さんの話を…
頭の整理が付かず、ザッと話してしまう。
千加は黙って頷いて聴いてくれた。
「そっか…。
でもね、真彩は悪くないと思うなー」
「なんで?」
「真彩は二人を引き裂いた訳じゃない。
柊良さんが決めて、真彩を選んでくれたでしょ?」
確かにそうかもしれない。
彗くんがケジメを付けたんだ。
私が告白した時、嬉しそうに笑ってくれたもん…
あの笑顔は嘘じゃないよね?
「変わらなきゃいけないのは柊良さんだよ。
いつまで元カノに振り回されてるんだっての!」
「千加…」
「これはあの二人の話だもんね。
ただ、真彩は絶対謝っちゃダメだからね!」
私の両肩を持ち、真っ直ぐ向けられた目
謝るな…
私は悪くない…?
千加…
「うぅ…ひくっ…ひくっ…」
溢れ出す涙が一気に流れて、涙で視界がボヤける。
千加が居てくれて良かったよ…
持つべきものは友達って、こういうものなんだね?
自分一人じゃどうしようもない時に、手を差し伸べて助けてくれる。
隣で話を黙って聞いてくれる。
「泣きな…
私が側にいるから。」
優しい千加の声に甘えて、ひたすら泣いた…。