横顔だけじゃ、足りなくて



-和奏 side-


学校祭を一緒に回ってくれた那雲くんは、あれから毎日お昼休みに保健室に来てくれた。


元気で明るい笑顔を向けられると、学校を辞めるのも惜しくなる。


けど、もう決めたんだ。




「明日、学校辞めるよ。」


『辞めるって…』


「彗とかに迷惑かけたくないから」




するとさっきまで笑顔だった那雲くんの表情が変わってしまった…


『彗…アイツ!!』


そう言って拳をキツく握った那雲くん…


もしかして、彗を知ってるの?




「彗とどういう関係?」


『俺が好きだったやつの彼氏…』



待って!


それって…




「真彩って子?」




偶然帰り道に見かけた時に、彗が『真彩ちゃん』って呼んでいた。


幸せそうに、楽しそうに笑い合っていたからあれが今、彗の好きな人だって人目でわかったんだ。


黙って頷いた那雲くん…


那雲くんは真彩ちゃんが好きだったんだね。




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