横顔だけじゃ、足りなくて
今までと違って、晴れ晴れした笑顔で立っている和奏。
『なんで…』
「連絡先、まだ知らなかったから」
『あ〜…そっか。』
互いにスマホを取り出して、LINEを交換する…
妙に静かな雰囲気に落ち着かなくなる。
黙ったまま行くんじゃなかったのかよ。
「ありがと。
また、会おうね!」
『…』
「そんな顔しないでよ?
いつでも会えるから」
なんでこんなに胸が苦しいんだよ。
心配そうに見る和奏から目を逸らす。
もう、ここで会えなくなるんだよな…
和奏の笑顔はもうここで見れなくなる。
もう少し早く出会っていれば…
でも、そう都合よく時間は戻ってはくれないんだ。
『また、会おうな』
「うん!」
最後に見た和奏の笑顔は、今までに見た笑顔で一番明るかった。
保健室に一人取り残された俺…
気持ちはまだモヤモヤしたまま。
落ち着かない…
『くそっ』
何も行動を起こせない自分が嫌になる。
-那雲 side end-