横顔だけじゃ、足りなくて
すると南校舎の裏で先輩は足を止め、側のベンチに座った。
もしかして…
確かお母さんが言ってたっけ。
私が高校受験の時に
「南校舎の裏にまだベンチあるかなぁー」
と、懐かしそうに笑って話していた。
きっとここだったんだ。
『名前…見つけるの早かったね』
「いえ、初め一年生の方から探しに行ったので…」
『えっ!?
ほんと?』
だって、わからなかったもん。
薄々、先輩かなとは思ったけど…
「はい」
『ははっ』
えっ…!?
笑って…る
肩を揺らしながら綺麗な歯を見せて笑っている。
こうやって笑うんだ
これが柊良先輩の初めて見た笑った顔…
「わ、笑わないで下さい!」
『ごめんごめん』
不思議。
柊良先輩といるとドキドキします。