横顔だけじゃ、足りなくて
-那雲 side-
待ち合わせ場所の駅には既に、和奏が着いていて、こっちに気付き手を振っている。
ベージュ色のコートに身を包み、ショートブーツを履いている。
コート下から見えるタイツを履いた足が寒そうだ。
『ごめん…待った?』
「うぅん、私が早く着すぎただけ。
久しぶり…だね?」
だいぶ会ってもいなければ、連絡さえもあまりしなかった。
何故か和奏に学校で会えなくなってから、寂しい気持ちになっていた。
でも、それを破ってくれたのは和奏。
『久しぶり…』
「さて、行きますか!」
『えっ…』
俺の右手を掴んで一歩先を歩く和奏。
軽く巻いた髪が揺れて、この前より大人になって見える。