横顔だけじゃ、足りなくて



着いた先は駅近くの新しくopenしたカフェだった。


外見が大人っぽい雰囲気から、あまり近寄り難い印象。


中に入ってみれば、すぐに珈琲の香りが漂っている。


角の席に座り、辺りを見渡すとお客さんの年齢層が幅広いことがわかった。


高校生から年配の方、子供を連れたママさん友達もいて、子供でも食べれるメニューもあるのだろう。




『ここ、ずっと行きたかったんだよね』


「大人っぽい雰囲気してるね!」


『ここのケーキ美味しいって聞いたから、真彩ちゃんにどうかなーって』




向かいに座る彗くんは恥ずかしそうに笑っていた。


私のために…

その一言が嬉しくて、まともに彗くんの顔を見れなくなる。


横顔じゃなく、真正面…

向かい合わせなんてまだまだ慣れていない。




「ありがとう」


『うん』




どうしよう…


ドキドキが止まらない…!





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