横顔だけじゃ、足りなくて



だけど、私を上手くリードしようと頑張ってくれているのが、すごく伝わってくるんだよ。


彗くんに触れられるとドキドキしてしまう。


私が手をぎゅっと握ると、ぎゅっと彗くんも握り返してくれた。


外の寒さなんてすぐに忘れてしまう。


駅までもう少し…


後少しでこの手が離れてしまう…




「離したくない」


『俺も…』




でも、離さなければならない。


ホームへ上がるエスカレータ下…


分かれ道。




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