横顔だけじゃ、足りなくて




ゆっくり私から手を離し、彗くんを見上げる。


そしてぎゅっと抱きしめて、心の中で「良し」と呟く。


離れようとしてもう一度彗くんを見上げた瞬間…


優しく重なり合った唇…


わっ、彗くん顔真っ赤!


耳まで赤くなってる!


ゆっくり唇を離すと、照れくさそうに鼻の頭をかく彗くん。




「ありがと!
大好き!!」




それだけ言ってエスカレータを駆け上ってしまった。


返し忘れたマフラー…


やってしまった…


彗くん歩きなのに。




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